ページ開けば1970年代のヨーロッパへ飛んでいけます。この本に出会わなかったら、こんなに古本をたくさん買うこともなかっただろうし、古本の楽しさを知ることもできなかったと思います。古本が「タイム・マシン」や「どこでもドア」になりえると、この本がおしえてくれました。
不朽の名作でもなければ貴重な本でもないけど、ぼくにとっては特別な一冊です。
誰にでも特別な一冊があるでしょう。だけど、その感動を共有するのは難しい場合も多々あります。それは入手した経緯など、その本自体のおもしろさとは直接関係のない個人的なストーリーが重要だったりします。これもまた古本の魅力です。
大阪池田市にある「古書キリコ」に、はじめて入った時に、この本を買いました。自分好みの本ばかりで本当に興奮しました。古本屋に入って興奮するなんてことはまずないですし、これからもないかもしれません。この時は30冊以上買い、どれもお気に入りばかりでしたが、この『ヨーロッパの有名店 買物事典』はその中でも特別でした。
一時期、何冊も買って友だちに無理矢理プレゼントしていました。みんな「良い本だね」とは言ってくれるけど、ぼくの感動の10分の1くらいしか伝わってなかったと思います。
とにかく、一人でも多くの方に手に取ってほしい。ただ、それだけです。
『ヨーロッパの有名店 買物事典』
監修:安岡章太郎、石井好子、遠藤周作/新評社/1973年
こちらで販売中。