開催前からちょこちょこウワサを聞いていて、いざ開催されたらスゴい盛り上がりをみせたイベント「
ZINE'S MATE」へ行ってきました。
二つの会場に分かれて開催されているのですが、まずはシャネルやブルガリが入っている高級テナント・ビルの方から。出店者はギャラリーが多く、ジンというよりギャラリーがつくったアート・ブックといった印象を受けるものが目立ちました。海外の出版物も多く、はじめてみるものも少なくなかったです。不思議だったのが非売品のものがけっこうあったこと、欲しいものに限って非売品だったりしたのが残念。この会場で印象に残ったのは、福岡発のアート・カルチャー誌。単純にカッコイイなと思いました。ボリュームのわりに値段も手頃。倉敷発のフリーペーパー『
クラッシュジャパン』なんかもそうだけど、地方の雑誌やフリーペーパーにスゴいのがたまにあります。知らないだけで、まだまだ地方にカッコイイものがあるのかもしれません。
もうひとつの会場がある裏原へ。道路まで人が溢れる大盛況ぶり。会場内も当然スゴい人。できるだけちゃんと手に取って見るようにしましたが、ゆっくり見れず見逃してるものもあったと思います。こちらは、手づくり感満載で個人の情熱がたっぷり詰まったジンも多くありました。こっちの会場も、上品なアート・ブックばかりだったらどうしようかと思っていたけど、その心配はなかったようです。
ジンをつくった方とコミュニケーションがとれて、直接買えるのもこういったイベントの醍醐味です。買ったジンにサインをもらったりもしました。ずっとお会いしたかった
野中モモさんとお話しできたのがとても嬉しかったです。主催者のひとり、ユトレヒトの江口さんとも少しお話して、イチオシのアホアホZINEもおしえていただきました。
どこからどこまでをジンと定義するのかが難しい問題ですが、つくり手がジンだと言えばそれがジンなのかなと個人的には思ってます。紙切れ1枚に手書きでなにかを書いたものでも、豪華なアート・ブックでも、つくった本人がジンだと言えばそれは否定しようがない。逆に、つくった本人が「これは立派なオレの作品集だ!」と言い張っても、他人がジンだと思えばそれもまたジンだということ。
ただ、制作に関わった人数が多くなればそれはジンとは呼べない気がします。多くの人が関われば関わるほど、濃度が薄くなるんじゃないかと思っています。すべて一人つくったものに勝るものはないと思っていたし、今回いろんなジンを見て改めてそう感じました。
ぼくもなにか無性につくりたくなってきたので、来年はブースを借りて出店者にまわりたいと思います。江口さんにも「来年は出ます!」とアピールしておきました。
一箱古本市もそうだけど、出店者にまわる方が絶対楽しいと思います。動力は必要ですが、それを上回るだけのトキメキがあるはずです。プロ・アマ問わず、みんながジンをつくればいいのになと真剣に思います。極端な話、紙とペンがあればジンはつくれます。それをコンビニでコピーすればいいだけですし、実際、近代ナリコさんがつくっておられる『モダンジュース』も最初はコンビニでコピーしてつくっておられました。
個人的に心惹かれてしまうのって、チープなものだったりします。チープだけど熱い想いが詰まってるものって最強です。お金がないからコンビニのコピーもカラーでやる踏ん切りがつかない。で、モノクロにしよう、、、と思ったけど、思いきってカラーにしちゃえ!って感じでつくったものってホント素敵です。
今回のイベントは「多様性」というのがキーワードになるかと思います。実際に買ったものも、お金をかけてつくったアート・ブック〜コピーしたものをホッチキスでとめただけものまで様々です。豪華なアート・ブックばかりだと当然つまらないんですが、全部が全部コピー機で印刷されたものばかりだと、それはそれでつまらないと思うんですよね。買ったジンは後日紹介していきます。
※ここではあえてジンという言葉を使いましたが、ジンもミニコミもリトル・プレスも基本的に同じ意味だと考えています。